本セッションでは、ウクライナ映画史においてきわめて重要な作品とされるユーリー・イリエンコ監督『黒い模様のコウノトリ』(1970)を本邦初上映し、上映後にウクライナとウクライナ文化への理解を深めるためのシンポジウムを開催いたします。
『黒い模様のコウノトリ』は、第二次世界大戦前から戦後にかけて、ルーマニアと国境を接するウクライナ西部のブコヴィナ地方のある村を舞台にしています。支配者が次々に代わるこの地に生きる、音楽一家の4人兄弟の姿を通して、運命に翻弄される者たちの苦難の歴史が描かれます。
フォークロアの影響を強く受けた、民族色を打ち出した色彩豊かな作品群を指して言われる「ウクライナ詩的映画」の代表作である本作は、多彩な音楽を聞くことができる作品でもあります。ぜひこの貴重な機会に本作をご覧ください。
なお、映画は日本語字幕付き(翻訳:梶山祐治、原田義也)で上映し、シンポジウムはウクライナ人登壇者が英語、日本人登壇者が日本語の日・英混合で進行いたします。通訳は付きませんが、英語発表の日本語資料を配布する予定ですので、あらかじめご了承ください。